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和包丁の研ぎ(Sharpening of Japanese knives)

包丁を研ぐのは砥石の中にある砥粒と、砥石から脱落した砥粒、そして刃物自身から出た研磨粒による複合的な効果によるものです。
この脱落した砥粒と、刃物自身から出た研磨粒が研ぎ汁として表面に発生し、これが刃物の研ぎと母材の研磨に効果を上げています。このバランスによって砥石と刃物の相性というものが出てきます。
鋼の中には、研ぎにくい鋼と、研ぎ易い鋼があります。特に、ステンレスの刃物は、タングステンが添加されているため、材料の分子が細くなり、研ぎにくい性質があります。
安来鋼(YSSヤスキハガネ)の、青紙は、タングステンが添加されているため、研ぎにくい性質があります。
研ぎにくい物は、なかなか刃がつきません。刃がつかないと、この鋼は硬いと言われますが、決して硬くはありません。研ぎにくいだけです。
青紙1号、白紙1号、黄紙1号の炭素量は総て同じで、焼を入れるとこの3種類は同じ硬さになります。青紙が特に硬くなり、黄紙が硬くならないと言うことはありません。
砥ぎやすい性質は鋼の種類と、使用する砥石の相性で決まります。

砥石(Whetstone)

包丁の研磨には人造砥石や、天然砥石等がよく使われています。どのような包丁をどれくらい仕上げる必要があるのかによって砥石の選び方もさまざまです。

人造砥石(Artificial whet stone)

人造砥石は、砥粒とセラミック質や硝子質を調合し、高圧で成型、乾燥させた後に600℃〜1300℃で焼結させ製造されます。一般的にセラミック砥石と呼ばれているものはこれにあたります。
人工の砥粒としてよく用いられる材料は、炭化ケイ素質研磨材(C・GC)、溶融アルミナ質研磨材(WA)、ダイヤモンド研磨材などがあげられます。
  • 荒砥石
    刃欠けなどを修正する際や、刃の形を大幅に変更する場合に使用する砥石です。大きな刃欠けなどが無い場合は、ほとんど使用しません。番手は#80〜#400程度。砥粒の素材としては炭化ケイ素が一般的です。
  • 中砥石
    一般的な研ぎ直しで使用される砥石です。刃先の微調整やしっかりとした刃先のラインを作る場合に用います。ほとんどの包丁はこの中砥石で研いだ状態でも刃が付いた状態になり、家庭での使用ではこの状態で研ぎ直しを完了しても問題がないといえます。番手は#600〜#2000程度。砥粒の素材としては溶質アルミナが中心です。
  • 仕上げ砥石
    中砥石で出来た細かいキズを取り去るために使用される砥石で、最終仕上げとしても用いられます。小刃止めなど刃先の耐久性をあげるための刃先のみの修正などに用い、大きく刃欠けなどが起きていなければ、日々の使用後に仕上げ砥をかけるだけで刃先の強度がさらに上がります。番手は#3000〜#6000程度。砥粒の素材としては溶質アルミナが中心です。
  • 超仕上げ砥石
    仕上げを行った包丁の刃先にさらに繊細な仕上げを行います。特に見栄えや切り口などを重視するプロや、特に柳刃包丁などの刺身包丁の場合はここまでの仕上げを行う必要があります。ほとんどは仕上げで出来た微細なキズを取り去ることが目的ですが、刃先の先端部の微調整に用いられることも多い砥石です。番手は#8000以上とされ、砥粒は溶質アルミナが中心です。

(This sentence was referring to the TOJIRO)

天然砥石(Natural whetstone)

天然砥石は、山から採れる天然の岩石を適度な大きさにしたもので、産地によって固有の名称がついています。
日本では火山活動など地殻変動が盛んであることから、地層の隆起などが起きやすく古くから良い天然石が採掘されていました。
元来日本では刃物を研ぐには、各産地で採掘される岩石を砥石として用いていました。
そして、地層や環境などによって品質が左右される天然砥石は、産出する産地の名前で呼ばれることが一般的になっていました。

代表的な産地と名称

  • 会津砥(あいずと)
    福島県
    凝灰岩からなる中砥。五十嵐砥と同様に硬質で白色と青水色があり、夏場は原石を掘り冬場に成型する季節に合わせた製造を行っていました。
  • 青砥(あおと)
    山形県東村山郡
    良質な青い中砥。軟らかめで中名倉の前に研磨を行う中砥。現在は既に閉山となり良質な青いものは流通しておらず、茶色のものも出回っています。
    庖丁なら仕上げ。かんな、のみは中研ぎ用。やわらかいので、割れに注意する必要があります。
  • 天草砥(あまくさと)
    熊本県天草
    本県で産出する備水砥の一種で、備水砥より粗目ですが中砥として用いられます。凝灰岩のみの上白と、凝灰岩に赤い層が波紋状に混じった粗目の赤 (虎砥)があります。
  • 合砥(あわせど)
    京都府
    京都府 地殻変動の影響から京都・滋賀でのみ産出する粘板岩の仕上げ砥で、非常にきめの細かい仕上がりから刃物の仕上げには無くてはならないとされています。刃先の硬化作用があるとされ、地金とハガネ部の境を際立たせる仕上がりは人造砥石では再現できません。かんな、のみ、庖丁などの仕上げ研ぎ用。
  • 五十嵐砥(いがらしと)
    新潟県
    凝灰岩の中砥。備水砥よりもやや硬質。白色と青水色の砥石で研磨力と粘りが両立していたとされています。
  • 伊予砥(いよと)
    愛媛県伊予郡
    荒砥から仕上げ砥まで分布。風化した雲母安山岩で白色から褐色の波紋を持つものがあり、歴史上最も古いブランド砥石として知られています。
  • 大村砥(おおむらと)
    和歌山県大村
    長崎県大村
    細粒砂岩で灰色の荒砥。長崎の大村砥は既に採掘を終了しており現在流通するものは紀州(和歌山)産の目透砥がほとんどですが、こちらも生産は終了しています。
  • 笹口砥(ささぐちと)
    長崎県
    砂岩でできた灰色の荒砥で、平島砥よりも軟らかい。
  • 佐伯砥(さえきと)
    京都府
    丹波青砥の一種の中砥。青砥に比べ若干キメが粗く、全体的に軟らかめ。
  • 常見寺砥(じょうけんじと)
    福井県
    凝灰岩を主とした緻密な中砥石で「寺中砥」と呼ばれた。 江戸時代に有名だった浄慶寺(浄教寺)砥石とも採掘場所が近いが同じ鉱脈の物かは不明。
  • 但馬砥(たじまと)
    兵庫県
    兵庫県で産出する荒〜中砥。灰色の粘板岩で水の吸収が少なく硬めだが、研磨力があり刃が付きやすいとされています。
  • 丹波青砥(たんばあおと)
    京都府亀岡
    変質粘板岩の中〜仕上砥。油分を含みやや硬め。包丁では仕上げ用として用い、最近では人工の青砥も出回るようになりました。
  • 対馬砥(つしまと)
    長崎県対馬
    対馬産出の中砥〜仕上砥で、黒く「黒名倉」とも呼ばれます。山と海底からも産出し、海底産出のものは若干柔らかめ。粉にして砥石目を消すのにも用いられます。
  • 名倉砥(なぐらと)
    愛知県三河
    灰岩を主にした中砥〜仕上げとして用いられ、「三河白名倉」と呼ばれます。 また端材は硬い砥石から砥ぎ汁を出すドレッサーとしても使用します。
  • 夏屋砥(なつやと)
    岩手県
    岩手県産出の荒〜中砥。砥粒は粗目で軟らかい。ハガネ系包丁の中砥としては食いつきが非常に良い。
  • 平島砥(ひらしまと)
    長崎県大村
    砂岩でできた灰色の荒砥で、荒砥の中でも特に粗い目を持つ砥石。砥汁がよく出て短時間で刃卸しが可能。
  • 沼田砥(ぬまたと)
    岩手県
    岩手県産出の荒〜中砥。砥粒は粗目で軟らかい。ハガネ系包丁の中砥としては食いつきが非常に良い。
  • 備水砥(びすいと)
    熊本県
    熊本県で産出される凝灰岩。中砥として用いられ産出が少なくなった伊予砥の代わりに用いられています。この備水砥の中でも特に天草砥が有名。
  • 門前砥(もんぜんと)
    京都府
    丹波青砥の一種で、赤味を帯びており、やや軟らかめな研ぎ味を誇します。砥ぐ感覚よりも、あてる感覚で、刃や地金部分の色付けに向いています。 水を含みやすく研ぎ汁がよく出るので研ぎやすいが、割れに注意する必要があります。

和庖丁、片刃の研ぎ方(Japanese knife sharpener)

img07 ●紹介する研ぎは、包丁が比較的、新しい間の研ぎ方です。 新しい包丁は 裏すきがしっかりしてあります。 この時点で切れ刃を平らに研いでいくと 刃先が薄くなりすぎ刃先が欠けやすくなります。 そこで、はまぐり刃に研ぐことにより 強度のある刃先に仕上げることができます。
*はまぐり刃は、刃先が微妙にカーブ状になって、はまぐり貝の表面のようなふくらみを持つ状態の刃です。

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img01
1.丸くなった個所を中砥石で、包丁を45度くらいに立て、2段刃状態で返りが出るまで研ぎます。 この時、形や刃こぼれなどを直します。
返りが出たら、裏を砥石に平に置き軽く研いで返りを取ります。

img02
2.荒砥石で、2段刃が消えるまで研ぎます。 消えたら荒研ぎは終了です。包丁全体が平均して消える様にします。
●切れ刃の幅は、広ければ良く切れますが刃こぼれし易くなります。 狭ければ刃こぼれはしにくくなりますが 切れは落ちます。 包丁の使い方に合わせて、切れ刃の幅を調節すると、使い易い包丁に仕上がります 。
●霞包丁の場合、切れ刃は1/4程度の硬い鋼と3/4程度の柔らかい地金の2枚の合さった部分です。 全体を平均して研ぐと柔らかい地金が鋼よりたくさん減り、切れ刃が広くなり形崩れする恐れが有ります。 そこで、刃先側に少し回転する力を入れ、切れ刃を平均に研ぎます。

img03
3.中砥石で、切れ刃全体を荒砥石で研いだ傷が消えるまで研ぎます。返りが出るまで研ぐ必要は有りません。
包丁を立て軽く研ぎ、小刃をひき(2段刃の軽いものと考えて下さい)刃先を整えます。この時点で返りが出てる様に研いでください。この小刃を、切れ刃の1/2程度刃先側を気持ち起しぎみにして研いで行きます。 消えたら、返りを軽く研いで終了です。
この時点で、切れる刃は出来ています。

img04
4.仕上砥石で、中砥石で研いだ小刃より、より細い小刃をひき刃先を整えます。 小刃を消す様に、切れ刃を研いで行きます。 より刃先を研ぐ様に起し気味に、鋼のみを研ぎます。 小刃が消えたら、返りを研いで、出来上がりです。
(鋼のみを研ぐコツは、鋼だけ研ぐと砥石に滑る感じがします。その境い目を探してみて下さい)

img08 ●次に紹介する研ぎは、使い込んで包丁の幅が狭くなり、裏すきが少なくなったり、無くなった包丁の研ぎ方です。裏すきが少ないため、はまぐり刃に研ぐと切れ味が悪くなります。そこで、切れ刃全体を平らに研いで行きます。

img01
1.丸くなった個所を中砥石で、包丁を45度くらいに立て、2段刃状態で返りが出るまで研ぎます。 この時、形や刃こぼれなどを直します。
返りが出たら、裏を砥石に平に置き軽く研いで返りを取ります。

img02
2.荒砥石で、2段刃が消えるまで研ぎます。 消えたら荒研ぎは終了です。包丁全体が平均して消える様にします。
●切れ刃の幅は、広ければ良く切れますが刃こぼれし易くなります。 狭ければ刃こぼれはしにくくなりますが 切れは落ちます。 包丁の使い方に合わせて、切れ刃の幅を調節すると、使い易い包丁に仕上がります 。
●霞包丁の場合、切れ刃は1/4程度の硬い鋼と3/4程度の柔らかい地金の2枚の合さった部分です。 全体を平均して研ぐと柔らかい地金が鋼よりたくさん減り、切れ刃が広くなり形崩れする恐れが有ります。 そこで、刃先側に、少し回転する力を入れ、切れ刃を平均に研ぎます。

img03
3.中砥石で、切れ刃全体を荒砥石で研いだ傷が消えるまで研ぎます。返りが出るまで研ぐ必要は有りません。
次に、仕上砥石で、切れ刃の1/2程度刃先側を気持ち起しぎみにして研いで行きます。 切れ刃全体を中砥石で研いだ傷が消えるまで研ぎます。

img04
4.仕上砥石で、軽く小刃付けをして終了です。
小刃(こば)付けは、刃先に、軽い段を付け、切れ味を確保しつつ、永切れを更に追加させる為に行います。
真っ直ぐに包丁を使えない場合、刃先が食材やまな板に当たる際、刃先がよじれるため、刃先が欠けたり、編摩耗し切れ味が低下してしまいます。そういう場合、小刃付けは有効な方法です。
頻繁に研ぎを行える場合や、切っている最中に、刃の方向を変えるような使い方をしない場合は、小刃は無くても基本的には大丈夫です。また、はまぐり刃の場合は小刃付けしてはいけません。

(一文字厨器株式会社 メンテナンスを参照

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良い切れ味の、刃物の先端断面を拡大すると左図のようになっています。
15〜20度程度の切れ刃から先端に向かって、25度程度の刃先があり、その先端0.02〜0.2mmの刃幅に30〜35度程度の小刃が存在します。この小刃の先端には「小刃先」が存在し表面には1/1000mm程度ののこぎり状の凹凸が存在します。この凹凸により食材を切り裂き、削り取り、切り分ける効果が出てきます。ちなみに、先端をすべて15度に研いだ刃物と、小刃の付いた刃物の切れ味は全く変わりなく、切れ味試験機によっても差が生じませんが、刃全体を15度に研いだ刃物よりも、小刃の付いた物のほうが、10倍程度の耐久性を得ることができます。