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銃刀法 (Firearms and Swords Control Act)

銃刀法の対象となるのは、「刀剣類」「模造刀剣類」及び「刃物」で、刀剣類は、許可なく「所持」することが禁止され、模造刀剣類と刃物は、業務その他正当な理由による場合を除いての「携帯」が禁止されています。ダガー以外のナイフ、包丁などはこの「刃物」に該当します。

内容(Contents)

刀剣類

  • 「刀剣類」とは、刃渡15cm以上の刀、槍及び薙刀(なぎなた)、刃渡り5.5cm以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフを言います。ただし、「開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置が無く、刃先が直線であってみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で1cmの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して60度以上の角度で交わるものを除く」とされています。銃刀法第2条2
    刀剣類であることの要件としては、形態が刀剣類であり、鋼質性であって、人畜を殺傷する能力があるもの、と規定されています。
    1. 「刀」(かたな)とは
      片側にしか刃のない物を指し、切断力を増す為に反りのついている物が多く、反りのついていないものは直刀と言います。
      「かたな」は「かた」「な」と分解できそれぞれを「片」「刃」であらわします。
    2. 「剣」(けん)とは
      反りのないもので両刃のものを言います。但し、日本の古代のものは片刃でした。
    3. 「槍」(やり)とは
      槍には大きく分けて穂(刃)が真っ直ぐな素槍、と鎌が出ている鎌穂槍の2種があります。
      また長さにより長槍と短槍に分けられますが、柄の長さは様々です。穂の中心(なかご)は断面がほぼ正方形先細りなものが多く孔があり、柄から目釘を入れて固定します。
    4. 「薙刀」(なぎなた)とは
      刀剣に柄を付けた形で、断面は刀の柄と同じような楕円形です。薙刀の刃は先端が両刃になっており、先端で引っかけて、刃の背でも切ることも出来ます。
    5. 「合口」(あいくち)とは
      鞘の鯉口と柄の縁が、ぴったりと合うように造られた鐔(つば)のない拵を特に合口拵(あいくちこしらえ)と言います。
      短刀と合口を混同する場合が多く、短刀拵に合口が多いため合口拵と呼ばれるようになったようです。
    6. 「飛出しナイフ」とは
      ロックを解除するとバネ等の力で自動的に開刃するナイフを言います。

模造刀剣類

  • 「模造刀剣類」は、総理府令で、金属製であって、刀・剣・槍・なぎなたもしくはあいくちに著しく類似する形態を有するもの、または飛び出しナイフに著しく類似する形態及び構造を有するもの、と規定されています。銃刀法第22条の4 

刃物

  • 刃物とは、人畜を殺傷する能力を持つ片刃または両刃の鋼質性の用具で刀剣類以外のものを言います。 料理用の包丁、西洋ナイフ、和式ナイフ、カッターナイフなどは刃物です。
    刃物に関して「所持」の禁止や許可の必要はありませんが、「刃体の長さが6cmを超える」ものは、正当な理由がなければ携帯することはできません。ただし、「刃体の長さが8cm以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものは、この限りでない」とされています。第22条但し書き 

所持

  • 「所持」とは「そのものを自己の支配し得べき状態に置くこと」で、その所持の様態として「保管」「携帯」「運搬」などがあります。
    「所持」は「所有」とは違い、例えば、ナイフを預かって持ち歩いても「携帯」となります。
    「携帯」とは、屋内・屋外を問わず、所持者が手に持ったり、身につけたり、その他それに近い状態で現に携えていると認められる場合をいいます。
    運転中の自動車の中に置くことは携帯となります。
    ただし日常生活を営む自宅ないし自室に置くことは携帯とはなりません。
    特別な理由及び許可が無ければ「刀剣類」の所持はできません。

刃渡

  • 銃刀法で言う「刃渡」は、刀、剣、薙刀(なぎなた)、合口(あいくち)及び飛出しナイフの「刃長」と、槍の「穂長」との総称を言い、包丁、ナイフなどの「刃物」については「刃体の長さ」と言います。
    さらに、同じ刃物でも「刃体と柄部の区別が明らかでない切り出し、日本カミソリ、握り鋏など」の刃物長の測り方はまた違います。銃刀法施行規則 第17条 
    1. 刀剣類の「刃長」 日本刀を例にとると、切っ先から、峰側が一段下がるところ「棟区」、までの直線距離を測ります。
      結んだ線が刃体を通らないので、「渡る」と言います。
      刃長
    2. 刃物の「刃体の長さ」
      切っ先から、柄部における切っ先に最も近い点までの直線距離を測ります。
      • 和包丁では、切っ先から、柄の直近で棟側と刃側に一段切れ込みが付いたところ「マチ」までの直線距離を測ります。
        刃体の長さ1
      • シースナイフの場合切っ先からヒルトまでになります。
        刃体の長さ2
        チョイル(切り込み)がある場合は、チョイルの切っ先に最も近い点までの直線距離を測ります。
        刃体の長さ3
      • フォールディングナイフの場合、切っ先からボルスターの頂点までになります。
        刃体の長さ4
      • 切り出しナイフなどのように刃と柄が一体で区別が付かない場合、切っ先から柄の尻までの全体の直線距離から、8センチを引いた長さが刃体の長さになります。
        刃の付いた部分が5.5cmの切り出しでも、全体の長さが17cmの場合、17−8=9cmが「刃体の長さ」となります。
        刃体の長さ5

携帯

  1. 模造刀等の携帯の禁止
    模造刀など、本物とまちがえ恐怖心を抱くようなものに関して、正当な理由を持たず携帯することはできません。銃刀法第22条の4 
  2. 刃物の携帯の禁止
    刃物に関して「所持」の禁止や、許可の必要はありませんが、「刃体の長さが6cmを超える」ものは、正当な理由がなければ携帯することはできません。銃刀法第22条ただし、「刃体の長さが8cm以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものは、この限りでない」とされています。6cm以下でも、周囲の人が見て、恐怖心を抱くようなものに関しては、銃刀法の規制ではなく軽犯罪法で「正当な理由無く刃物・鉄棒その他、人命を害する・人体に重大な害を加えるような器具を隠し持ち携帯したものには拘留もしくは科料に処する」と規定されています。 
    日本の法律ではいかに護身用と言えども、人に危害を加えるための正当な理由は認められていません。

正当な理由

  • 「正当な理由」とは、「通常の常識で理解できる正しい理由」と定義されていて、「護身用」「ただ何となく」などは正当な理由にはなりません。
    釣やキャンプで使うため、作業のための工具、道具として携帯する、ナイフを店で購入して家に持ち帰る、修理のため店に持っていく、などは正当な理由になりますが、むき出しで、周囲の人が見て、恐怖心を抱くようなものに関しては、銃刀法の規制ではなく軽犯罪法の規定となります。