和包丁
序論(Introduction)
「庖(ほう)」は調理場を意味し、「丁(てい)」は、成年に達した男子を意味します。「庖厨(ほうちゅう)」は台所。「園丁(えんてい) は庭師。「庖丁(ほうてい)」は料理人を意味します。 『荘子』の「養生主篇(ようせいしゆへん)」に、魏(ぎ)の恵王(けいおう)の御前で、ある庖丁(ほうてい)が見事な刀捌きで牛一頭を素早く解体して見せ、王を感銘させる記事があるそうです。彼の使用した料理刀を後に庖丁と称し、これが日本語読みで「ほうちょう」となったそうです。また、のちに「包丁」とも書かれるようになったようです。包丁は、 和包丁(わぼうちょう)と洋包丁(ようぼうちょう)に大別できるほか、特殊用途の包丁が数多くあります。洋包丁の多くはV字の両刃で、和包丁はレ字の片刃のものと、両刃のものがあります。片刃のものは右利き用と左利き用の区別があります。
和包丁の各部名称(Names of parts)
(Photograph from Wikipedia)
和包丁と洋包丁で構造が異なりますが、厳密な区別基準というものは存在しません。概ね刃については、洋包丁は両刃で、刃全体が鋼でできている全鋼で、和包丁は片刃で、軟鉄の地金に鋼を鍛接(たんせつ)した霞と呼ばれる合わせです。
洋包丁でも軟鉄で鋼を挟んだものがあり、和庖丁には全鋼の本焼きがあります。柄は、洋包丁は中子を挟み込んで鋲打ちで留めているものが多く、和包丁は中子を柄に差し込んだだけの構造がほとんどです。
- 切っ先 - 刃先、刃の先端。力を掛けず細かな細工で使います。
- 反り - 刃線の中のでも変曲点、または曲率が変化している曲線部で切っ先から刃線までに位置する部分。
- 刃境(はざかい) - 鋼と地金の境目。
- 切刃(きれは) - 片刃の包丁の表にある斜めの平面部分。
- 鎬(しのぎ) - 平と切刃の境目の角になる筋。鎬筋とも言います。
- 刃先 - 切っ先からアゴに至る切れる部分全体の名称。刃線、刃道とも言います。
- 峰(みね) - 刃の後ろ側の部分。背、むねとも。
- 平 - 横側の部分。
- 刃元 - 力を入れた切断に使う部分。
- アゴ - 柄から刃が出て突き出している部分。
- マチ - 柄元となかごの境となる段。ない物も多い。みね側を上マチ(むねマチ)、刃側を下マチ(刃マチ)と言います。
- 口輪(くちわ) - 和包丁で、中子を差し込む側の割れを防ぐために取り付けた輪、かつら、とも言います。金属製のものを口金(くちがね)、水牛の角を用いたものを角巻(つのまき)と呼びます。高級品は銀や真珠貝を使用する場合もある一方、普及品では合成樹脂やエボナイト製が多く、PCかつら、プラスチックかつら、などと呼びます。
- 中子(なかご) - 柄の中に納まっている刃の根元部分。
- 柄(え) - 持ち手の部分。和包丁の柄は差し込み式が一般的で、素材は、朴(ほう)が多く他には黒檀などが使われています。柄の断面形状には、出刃包丁などに付いてる、小判型、柳刃包丁などに付いている、栗栗型、八角型などがあります。
- 柄尻(つかじり) - 持ち手の最後端
- 裏すき - 刃の裏側のえぐれ。これがあることで裏が平面にならないので食材が貼り付きにくく、抵抗が減って切りやすくなります。また、うらすきがあると、裏を平面に研摩する時に砥石にあたる面積が減るため裏押ししやすい。
- 裏押し - 刃の裏側の縁の部分を研いで付けた平面。刃裏とも言う。裏押しを付ける作業を指すこともある。裏押しが実質的な完全平面であるために、裏すきによって裏が完全な平面でなくても片刃の鋭利な刃が付きます。
- 小刃(こば)、小刃止め - 刃道に僅かに付けた段差。切れ味を低下させずに、永切れするために付けます。小刃を付けることを小刃合わせ、糸刃合わせと言います。
- 刃渡り - 切っ先からあごまでの長さ。マチ付きの包丁では先端からマチまでの長さ。
- おおむね - みねの下側。
- 鎚目(つちめ) - 表面を叩いて凹凸にしたもの。ディンプル同様の機能のほか外観を整える効果があり、近年増加している。
(From Wikipedia)