旅2010年 (Journey 2010)
静岡県:龍潭寺の左甚五郎作 竜の彫刻
龍潭寺(りょうたんじ)は静岡県浜松市北区引佐町井伊谷にある臨済宗妙心派の寺院で、733年(天平5年)に、行基によって開かれたと伝えられています。1093年(寛治7年)に遠江国守、井伊共保(ともやす)が葬られ、以降井伊家の菩提寺となります。以後、24代井伊直政が彦根に移るまで、およそ500年の間、井伊氏に帰依されてきました。幕末の大老井伊直弼(なおすけ)も龍潭寺に位牌が祀られています。
左甚五郎(ひだりじんごろう)は、江戸時代の伝説的な彫刻職人と伝えられていて、日光東照宮の眠り猫や東京上野東照宮の竜など多くの甚五郎作と伝えられる彫刻が全国にあります。しかし、作品の多さや江戸初期から末期にわたる伝承の内容から考えて、実在の人物であったかどうか、はっきりしていません。
1675年(延宝3年)医師で儒者の黒川道佑(くろかわどうゆう)が書いた遠碧軒記には、「左の甚五郎と云うものが左の手にて細工を上手にし、京都の北野神社の透彫や豊国神社の竜の彫物がその作品だ」と書かれています。左利きの優れた技量を持つ甚五郎という実在の人物が左甚五郎として、各地の名工による彫刻が逸話となり甚五郎伝説となったと言う説もあります。
有名な作品
- 栃木県日光市、日光東照宮の眠り猫
- 埼玉県熊谷市、妻沼聖天山の歓喜院、奥殿胴羽目の鷲と猿
- 埼玉県秩父市、秩父神社のつなぎの龍、子宝・子育ての虎
- 埼玉県比企郡吉見町、安楽寺
- 埼玉県さいたま市、国昌寺
- 東京都台東区、上野東照宮の竜
- 山梨県大月市、淨照寺
- 福井県鯖江市、誠照寺の山門、駆け出しの竜、蛙股の唐獅子
- 滋賀県大津市、園城寺の閼伽井屋の龍
- 京都府八幡市、石清水八幡宮
- 京都府宮津市、成相寺
- 京都市東山区、鶯張りの廊下
- 京都市東山区、知恩院の忘れ傘、鶯張りの長廊下
- 京都府、祇園祭 鯉山の鯉
- 兵庫県明石市、稲爪神社
- 兵庫県姫路市、圓教寺の力士像
- 和歌山県和歌山市加太、加太春日神社
- 島根県出雲市、出雲大社の八足門、蛙股の瑞獣、流水紋