千葉県:誕生寺の仁王門
誕生寺(たんじょうじ)は、千葉県鴨川市小湊にある、日蓮宗の大本山で、日蓮聖人の誕生を記念して出身地に建立されました。
建立したのは、日蓮聖人の直弟子の中でも中老僧と呼ばれる、日家(にけ)上人と日保(にほ)上人で、1276年(建次2年)に寺基(じき)が定められたと伝えられています。
2人は勝浦市興津の領主佐久間氏の出身で、興津には、日蓮最初の開基(かいき)寺院、妙覚寺(みょうかくじ)を開いています。
誕生時が創建された場所は、現在の境内の南西約300mの沖合で、1498年(明応7年)の大地震のために、海中に没してしまい、その場所は蓮華ヶ淵(れんげがふち)といわれています。誕生時は、地震や津波による寺地の移転、大火による伽藍(がらん)の焼失などの度に復興され、現在に法灯(ほうとう)を伝えてきました。
仁王門は、1706年(宝永3年)に建立され、1991年(平成3年)に大改修が行われました。間口8間(14.5m)、1758年(宝暦8年)、宝暦の大火で際焼け残った誕生寺最古の建造物で、仁王像は、誕生寺のある安房国の隣国上総国上野村植野(勝浦市)の仏師、松崎右京大夫法橋(まつざきうきょうだゆうほっきょう)の作であるといわれています。仁王門の完成に続いて、1730年(享保15年)に製作されたものだそうです。
仁王像は、一般に親しまれた名で、本来は、金剛力士(こんごうりきし)と呼ばれ、仏教の護法善神(ごほうぜんじ)である天部の一つ。仏敵を退散させる武器、金剛杵(こんごうしょ)を持つものを意味します。開口の阿形(あぎょう)像と、口を結んだ吽形(うんぎょう)像の2体を一対として、寺院の表門などに安置することが多いそうです。
撮影2016年10月9日