フィリピンの貿易銀貨 (Philippines Trade dollar)
1926年 貿易ピアストル
1895年〜1928年に発行、材質(Material):90%銀(Silver)、直径(Diameter):39.0mm、重量(Weight):27.0g。
左 「REPUBLIQUE」「FRANCAISE」「1926」太陽冠を被り、ファスケス(fasces)を持つ自由の女神坐像。
右 「INDO・CHINE FRANCAISE」「TITRE 0.900.POIDS 27GR.」「PIASTRE DE COMMERCE」
1887年から1954年までフランスの支配下にあった、現在のベトナム・ラオス・カンボジアを合わせた領域を仏領インドシナと呼び、フランスは本国の貨幣を法定通貨としました。しかし、フランスの5フラン銀貨は25.00グラムでメキシコ・ドルに対し量目が不足していて広く流通することはありませんでした。また当時の世界的な銀相場の下落により金銀比価が変化し、銀貨には相対的に高い名目価値が生じフランス本国に銀貨が還流する懸念があり、これを防止するためにも貿易専用の銀貨を発行することになります。
さらに、コーチンシナ(Cochin China)に加え、後にフランス領となった現在のベトナム北部から中部の安南(あんなん)、トンキン(Tonkin)地方では、貿易決済通貨としてメキシコ・ドルやアメリカのトレード・ダラーが使われていたことから、1885年よりアメリカのトレード・ダラーと同等の420グレーン(27.215グラム)の貿易銀を発行します。この貿易銀はピアストル(PIASTRE)の額面および品位0.900、量目27.215GRと表記されていました。しかし、流通にはメキシコ・ドル使用され、この貿易ピアストルはアメリカおよび日本の貿易銀と同様、退蔵され広く流通することはありませんでした。そこで1895年から、量目を27.00グラムに減量して広く流通するようになり、1928年まで発行されます。
420グレーン=27.215グラム