フィリピンの硬貨 (Philippine coins)
1970年 1 PISO
1970年に、ローマ教皇パウロ6世のフィリピン訪問を記念して発行 ●材質(Material):ニッケル(Nickel) ●直径(Diameter):38.2mm ●重量(Weight):23.1g。
左 「PAGDALAW NG PAPA SA PILIPINAS」「1970」ローマ教皇パウロ6世(Pope Paul VI)。
右 「PANGULO NG PILIPINAS」「PISO」フェルディナンド・エドラリン・マルコス(Ferdinand Edralin Marcos)。
パウロ6世は、第262代ローマ教皇。在位は1963年6月21日〜1978年8月6日。本名はジョバンニ・バッティスタ・モンティニ(Giovanni
Battista Montini)。第2バチカン公会議をヨハネ23世から引継いで全うし、その理念の実施を促進しました。パウルス6世とも表記されます。
マルコスは、1917年にルソン島北西のイロコス・ノルテ州(Province of Ilocos Norte)のサラットで生まれ、フィリピン大学で法律を学びました。1946年から1947年にロハス大統領の法律補佐官を務め、1949年にイロコス・ノルテ州から下院選に出馬し当選します。1954年イメルダ・ロムアルデスと結婚します。1965年、自由党の議員として大統領選出馬を目指しましたが党の公認を得られず国民党に移籍し、現職のマカパガルを破り第10代大統領、第3次共和国第6代大統領となります。
経済政策で一定の成果を上げて1969年に再選します。「1935年憲法」は大統領三選を禁じていました。1972年、独断で憲法を廃止するとともに議会を解散し、反政府勢力から国家を守る為と主張して、戒厳令を布告します。
ベニグノ・アキノ(Benigno Servillano Ninoy Aquino Jr.)をはじめとする反マルコス派を一斉に逮捕・投獄するとともに、出版・集会・海外渡航の自由なども制限しました。(アキノはその後アメリカへ亡命します。)1973年には「1935年憲法」に替えて「1973年憲法」を公布します。
1981年、11年ぶりに大統領選挙が行われ再選しますが、フィリピン経済の基幹部分をクロウニーズと呼ばれるマルコスの親類や友人たちが独占したため国の経済は混迷し、対外債務は1972年に20億米ドルでしたが1980年には280億米ドルとなってしまいました。マルコス自身もスイス銀行の口座に50億米ドルを越す金を隠匿したといわれています。1983年、アキノ元上院議員が亡命先の米国から帰国、マニラ国際空港で軍によって暗殺され、1986年のピープルパワーへと進展します。ピープルパワー革命の様子はテレビを通じて世界中に同時中継されました。
マルコスは、ピープルパワーに追いつめられ米軍機でハワイに亡命し、1989年、亡命先のハワイで病死します。(享年72歳)
(Photograph from Wikipedia)