pichori


序論(Introduction)

トライアル(アメリカ合衆国陸軍制式拳銃の採用試験)は1899年に起きた米比戦争において、フィリピンのマアス・ジキリ率いるタウスグ族の小集団がアメリカ軍を攻撃し、抵抗を続けました。ジキリは1909年に戦死するまでおよそ3年間戦い続け、不利な状況下でも退却しないタウスグ族の勇敢なリーダーとしてアメリカ人もジキリの勇敢さに敬意を表し、敵国人として唯一その彫刻がワシントンの博物館に展示されているといいます。
合衆国陸軍は、刀や槍、旧式のライフル、わずかな大砲しか持たないタウスグ族との長期戦を痛感し、トンプソン大佐(John T. Tompson トンプソン機関銃の開発者)の率いる陸軍造兵局委員会は、口径別による数々の実験を行い、.45口径が有効であり必要であるとの判断を下し、.45口径のアメリカ合衆国陸軍制式拳銃の採用試験(トライアル)を1906年に開始しました。

内容(Contents)

M1900

コルトM1900 ブローニングが1898年の試作型を改良し、.38口径のショート・リコイルを備えた銃で、アメリカ合衆国陸軍と海軍に試験のため200丁提出した銃です。
コルトM1900は、ジョン・M・ブローニングの設計で、コルト社が製作したアメリカでは初めての自動拳銃です。この銃には、パラレル・ルーラー・ロッキングティルトバレル式ショートリコイル)と呼ばれるリンク式のショート・リコイルが取り入れられていました。パラレル・ルーラー・ロッキングは撃発時にバレルとスライドが同時に下がり、バレルがリンクによって引き下げられることによってバレルとスライドのロックが外れブローバックを行なう機構です。M1900はブローバックの際にバレルを引き落とすリンク部分が2つありパラレルの名前の由来になっています。後のコルト社の自動拳銃のオリジナルとなった銃です。写真の銃は、民間用に製造されたM1900です。
■口径:0.38 ■装弾数:7 ■重量:992g ■全長:228.6mm

ショート・リコイル
遊底と結合された銃身が、一定距離ともに後座する自動火器の閉鎖機構

M1902

コルトM1902 試験されたM1900は、ランヤードリングの追加、スライドストップの追加、、慣性打撃を行って発火を確実にするため、撃針を短くする、グリップを硬質ゴムなどいくつかの改良がされM1902となります。
■口径:0.38 ■装弾数:8 ■重量:1077g ■全長:228.6mm

M1905

コルトM1905 各種の試験を受けたM1902はM1903を経て.45口径のM1905に発展しアメリカ合衆国陸軍制式拳銃の採用試験第1次審査(トライアル)へ提出されます。
1906年に始まった第1次審査は、コルト(COLT),ルガー(Luger)、サベージ(Savage), ノーヴエル(Knoble), バーグマン(Bergmann), ホワイト・メリル(White-Merrill)とスミス・アンド・ウェッソン(Smith & Wesson)によって提出された.45口径ピストルから選定が始まりました。

サベージM19061907年 アメリカ合衆国陸軍はコルト社のM1905とサベージのM1906を選定に残し、第2次審査が始まります。 ブローニングが、45ACPと呼ばれる45口径の弾丸の特許U.S. Patent 808,003を取得します。

M1907

コルト M1907 トライアルの期間中ジョン・ブローニングは、トライアル用のピストルの生産を自ら監督するために、ハートフォードの工場へ行き、コルト社の、フレッド・ムーアとそのスタッフと共に、テストでの不具合等を改善して行きました。
M1907は、1905の改良型で、パラレル・ルーラー・ロッキング機構、グリップ・セイフティー、スライド・ストップを含むマニュアル・セイフティが設けられ、バレルリンクのシングル化、排莢口が銃の上面に設けられ、マガジンキャッチが銃底面からトリガー後ろに変更され、グリップのアングル変更と延長等の変更が行われました。

M1909

コルト M1909M1909は、1908の改良型で、パラレル・ルーラー・ロッキングティルトバレル式ショートリコイル)の銃口部側リンクを無くし、バレルブッシングでバレルを支える方式に改造されました。以降、ティルトバレル式ショートリコイル、あるいはリンク式ショートリコイルなどと呼ばれています。
トライアル用に製造された銃は約200丁で、再び委員会への評価のために提出され、M1909とコルト社内で呼ばれました。
テストは、1911年3月3日に開かれました。
内容は、6000発の実射で構成され、100の発射後、5分間の冷却を行い、1000の発射後に、分解及び注油を行い、これを6回繰り返し、6000の発射を行いました。その中において、異形のカートリッジでの発射、塩水、砂、泥に於ける耐久性のテストも行われました。3月20日に発表された、評価委員会の報告(アメリカの全国ライフル協会公表)では、2種類のピストルのうち、テスト結果から、コルト式自動拳銃の方が優れていると発表されました。評価の内容は、 1) 信頼性が高い、2) 簡単に分解でき、部品の交換が容易、3) 命中精度が高いでした。

M1911

コルトM1911 M1909のマニュアルセイフティーを銃左側面にあらため、排莢口を従来どおり右にし、1911年3月29日、ブローニングが設計した、コルト式自動拳銃は.45ACPと共に、アメリカ合衆国陸軍にU.S.ピストル、口径.45、モデル1911と名付けられ、アメリカ合衆国陸軍制式拳銃となります。
1926年に改良が加えられた「M1911A1」となり、その後1985年、ベレッタM92Fが制式採用されるまで、70年以上にわたってアメリカ軍の制式拳銃でした。今なお、一部の特殊部隊では使用され続けています。
■口径:.45口径 ■全長:216mm ■銃身長:106mm ■使用弾薬 .45ACP ■装弾数:7 ■重量:1077g 。



ページトップ
戻る