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序論(Introduction)

14世紀以降、銃の速射性向上のため様々な試みが重ねられ、19世紀中ごろまでに数多くの連発火器や、半自動火器が登場します。1834年にはデンマークの発明家N・J・レイプニッツが空気圧機関銃を発明し、1分間に80発の連射が可能でしたが、実用化されませんでした。この頃までに、数多くの特許が出願されましたが、最初に使用されたのは南北戦争からでした。

内容(Contents)

  • エージャーガン1861年、セールスマンのJ・D・ミルズ(J・D Mills)がリンカーン大統領の前でユニオン・リピーティング・ガン(Union repeating gun)と呼ぶ銃の実演を行います。この銃は単一銃身の手回し式機関銃で1分間に120発の連射が可能でした。リンカーンはこの銃を「コーヒーミルガン(Coffee mill gun)」と呼び、1丁1300ドルで、10丁を購入した記録があるそうです。この機関銃は、1860年にウィルソン・エージャー(Wilson Ager’s)によって製造されたものですが、原型は1855年に、ウィルソン・エージャーと共にウィリアムズ・パーマー(Williams Palmer)、エドワード・ヌージェント(Edward Nugent)により製造されたようです。アメリカではこの銃の特許記録は残っていませんが、イギリスではウィルソン・エージャーが特許を取っていて、「エージャーガン」として知られています。
    「エージャーガン」は、初めて戦争に使用された機関銃でしたが、信頼性、安全性に欠けていたため、1865年までにすべて軍から払い下げられました。
  • リチャード・ジョーダン・ガトリング(Richard Jordan Gatling)1861年にアメリカの医師リチャード・ジョーダン・ガトリング(Richard Jordan Gatling)によって、銃身をリング状に並べ、人力でクランクを回転させると、連続して給弾・装填・発射・排莢のサイクルが進行する構造のガトリングガンが製品化されます。
    リチャード・ジョーダン・ガトリングは、1818年9月12日にノースカロライナ州ハートフォードのコモで生まれました。彼は、21歳のとき、汽船のためのプロペラ推進器を発明します。その後、種まき機を発明し1845年までそれを売り、利益を得ます。 1850年にオハイオ医科大学を卒業し、医業を営みながら1857年に種まき機の構造をもとに、人力でクランクを回転させると、連続して給弾・装填・発射・排莢のサイクルが進行する構造のガトリングガンを考案します。 金属薬莢を使用する後装式の閉鎖機構と給弾機構を組み合わせたもので、毎分200発の射撃を行えました。

  • 1862年ガトリンクガン製品化された当初は、加工精度の低い弾薬が原因で弾詰まりを起こしましたが、1865年に発表された「モデル1865」は、弾詰まりが解消され信頼性も向上し、1866年にはアメリカ陸軍に制式採用されます。海外では、イギリス、日本、ロシア、フランスなどが購入します。1876年までには、理論上1分間に1200発の連射が可能で、戦闘では1分間に400発は容易に連射が可能でした。
    ガトリングガンは、南北戦争やインディアン戦争、普仏戦争に投入されました。基地を構え、攻撃を仕掛けて来た敵を迎え撃つのに適していましたが、野戦には不向きでした。旧来、歩兵は密集して真っ直ぐ向かってくる戦法でしたが、南北戦争では、小銃の殺傷力が上がり、散開しながら接近して来る戦法へ変わり、射撃姿勢が高く射手が無防備となり、狙撃を受けやすく、機動性と軽便さに欠けるガトリングガンは野戦には不向きな兵器となっていました。

  • M1914オチキス機関銃1871年にアメリカ人のベンジャミン・オチキス(Benjamin Hotchkiss)が、フランスでガス圧を利用したオチキス機関銃を開発し、1897年に、オチキス Mle1897がフランス軍に制式採用されます。オチキス機関銃は、空冷式の銃身と発射ガスの圧力を利用したガス圧駆動方式で1分間に600発の連射が可能でした。本体は32の部品で構成され、4本のスプリングを使用し、道具を使わずに分解や組み立てが簡単に行えました。

  • コルトM1895機関銃 アメリカでは、1873年にジョン・モーゼス・ブローニング(John Moses Browning)が銃口から出る燃焼ガスをヒントにガス圧利用式「ガス・オペレーテッド」を採用した機関銃を開発し、ブローニングから製造権を買い取ったコルト社で量産が開始され、1895年にアメリカ海軍に、コルトM1895機関銃として採用されます。しかし、M1895には銃身の冷却機構が無く、アメリカ軍は順次マキシム製の水冷機関銃に切り替えるようになります。ブローニングはこの失敗経験をもとにその後、水冷式機関銃「ブローニングM1917機関銃」の開発に成功します。

  • マキシム機関銃1884年には、アメリカ人のハイラム・マキシム(Hiram Stevens Maxim)がイギリスで、水冷反動式のマキシム機関銃を発明し、1891年にはイギリス軍に採用されます。マキシム機関銃は、毎分500発の連射が可能なショートリコイル方式の水冷銃身でした。ショートリコイルは、銃身をわずかに後退させ、後退するエネルギーでボルトの開閉と排莢、発射を自動的に行わせる機構です。また、連続発射したときの発熱を防ぐため、銃身を水で冷やす水冷式でした。
    マキシム機関銃は、銃全体で50kgと、ガトリングガンから比べれば大変軽量でした。1890年当時、世界最大の軍需会社だったイギリスの「メトロポリタン・ビッカース(Metropolitan Vickers)」により大量生産され、多くの国で類似品が生産されました。 これにより、機構が複雑で、重量がかさむガトリングガンは急速に衰退してゆきます。

  • ライトフライヤー号1903年12月17日、アメリカのライト兄弟は、ノースカロライナ州のキティホークにあるキルデビルヒルズで、12馬力のエンジンを搭載した「ライトフライヤー号」によって世界で初の有人動力飛行に成功します。1912年6月2日には、この「ライトフライヤー号」の後継機種、ライトB型に世界で初めて機銃を搭載し発射したと言われています。
    第1次世界大戦がはじまる1914年までに、世界中で飛行機の研究が進み、第1次世界大戦で、初めて航空機が戦闘に使われました。 初期の戦闘機には、自機の発射した弾丸がプロペラに当たらないように調整する「プロペラ同調装置」が無く、プロペラを避けて射撃を行っていました。 その場合、射線が機軸に無いため弾道収束の必要があり、命中には一定の距離が必要でした。また重心から離れた主翼などに重量物である機銃を設置することにより、機動性への影響が大きくなります。
  • フォッカー(Fokker)1915年、ドイツのフォッカー(Fokker)社で、銃口の前をプロペラが通過する時に引き金を引いても発射装置が作動しないプロペラ同調装置が搭載された、フォッカー E.I単葉機が製作されます。それにより機首から機銃を射撃できるようになり、活躍しますが、1916年には連合国側に渡り、イギリスやフランスの戦闘機にも同調装置が付けられるようになります。以降戦闘機は機首部に同調装置付きの機銃を装備するという形態が標準となります。

  • ポンティアックM391940年代、第2次世界大戦末期に、ドイツのモーゼル(Mauser)社がMG213Cと呼ばれる機関砲を考案します。それは、1本の砲身で、薬室が円形に並ぶシリンダーを回転させて連射を行なう、「リボルバーカノン(revolvercannon)」と呼ばれる機関砲でした。その後、MG213Cをもとに、アメリカのスプリングフィールド造兵廠(Springfield Armory)はT-160機関砲を、自動車メーカーのポンティアック(Pontiac)社と開発します。T-160は、F-86に搭載されて朝鮮戦争に投入され、 1953年より実戦環境での運用試験を受け、M39として制式化されます。発射速度は毎分1700発。 リボルバーカノンは、遊底を前後させる通常の機関砲に比べて、格段に速い連射が可能で、小型軽量のため多くの戦闘機や攻撃機などに装備されました。しかし、発射ガスで駆動しているため、不発弾などがあった場合にそれを取り除く必要があり、特に戦闘機ではそれが致命的な欠点と考えられました。

  • ロッキードF-104 M61A1G バルカン戦闘機の高速化・高機動化に伴い、米空軍は、より高い発射速度を求めてガトリング方式に着目し、ガトリングガンに油圧モーターを取り付けたものを作成し実験を行い、大きな発射速度と強力な破壊効果を確認します。有効性が認められたガトリングガンは、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)社製M61/M61A1「バルカン」として完成します。 M61は、20mmのガトリングガンで、6本並べた砲身を発射側から反時計周りに回転させて連射を行います。1958年にロッキードF-104スターファイターに搭載されて以来、アメリカ軍の機関砲を搭載した戦闘機のほぼすべてに採用されているそうです。 発射速度は戦闘機に搭載する場合、毎分4,000発と6,000発の切り替え式で、最大7,200発、試験的に行った記録では12,000発だそうです。ただし、ガトリングガン全般に言える事ですが、発射開始から規定の回転数までの時間に、油圧式で0.3秒程度かかるため、その間はスペック通りの発射速度にはならず、射撃停止には0.5秒程度かかり、砲弾は発射されませんが、砲弾は未使用のまま弾倉へと収容されます。また、砲身の加熱による影響から、1回の発射時間は2秒以内に制限されているそうです。 システム全体の重量は140から190Kg。砲身長は標準で1.52m。故障が発生する確率は100,000発に1回程度と言われています。砲身の寿命はおよそ12,000〜18,000発、システム全体の寿命は150,000発程度だそうです。
  • ファランクス (Phalanx)船舶においては、アメリカのレイセオン・システムズ社(Raytheon Systems Limited)の、ファランクス(Phalanx)に使用されています。ファランクスは、CIWS(シーウス Close in Weapon System)と呼ばれるシステムで、ゼネラル・エレクトリック社製20mmガトリング砲M61A1を用い、捜索・追跡レーダーと火器管制システムを一体化した自動の防空システムで、対艦ミサイルからの防御を主目的としています。写真はひゅうが船首のファランクス。

    アメリカ軍及び自衛隊式の区分としては、口径20mm以上を機関砲(Cannon)、20mm未満は機関銃(Machinbre Gun)と呼んでいます。

    (Photograph from Wikipedia)


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